「YAMAP MAGAZINE」ってどんなメディア!?編集長にインタビュー

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取材日:2022年1月
この記事はライターマガジンVol.8掲載の記事を転載したものです。

登山地図GPSアプリ「YAMAP」が提供するYAMAP MAGAZINEはビッグデータを活かし、山の楽しみ方や安全登山の知見を発信。登山の楽しみ方や登山に必要な知識や技術、安全登山の啓発などをテーマに記事を制作。アプリを含めた自社サービスの活用促進や、企業、自治体とのコラボレーションを展開する媒体としての役割も担う。

メディア:YAMAP MAGAZINE
キャッチコピー:山と風土を愉しむ、地球とつながる
メディア設立:2019年11月末
月間PV:約190万PV以上/月(2022年10月時点)
記事投稿サイクル:約20記事/月(2023年3月時点)
ターゲット層:登山者およびアウトドア全般に興味がある方
社内での位置付け:登山文化・安全登山の啓発、新規ユーザー獲得、自治体・企業とのコラボレーション
編集部メンバー構成:社内編集 4名、嘱託ライター 複数名
運営会社:株式会社ヤマップ

アプリとの連動で、多彩な情報を提供するYAMAP MAGAZINE

 これまでにおよそ800記事を制作、息の長いコンテンツを多数公開しているYAMAP MAGAZINE。立ち上げから約1年で月間140万PVを超え、その後も堅調に推移。多くのユーザーが利用する登山地図GPSアプリが母体であり、UGCやビッグデータを活用したコンテンツなど、他のアウトドアメディアと一線を画す記事を制作している。

 登山者の裾野を広げ、「登山文化を作る」ことに主眼を置いているが、その裏には「登山文化を永続させる」というテーマもある。現在、登山者の主体は中高年層。新たな世代が山の世界に入って来なければ、将来的に登山道整備などが継続的になされず、山が荒廃する可能性も。山を守り、安全な登山を実現するためにも、初心者や若年層の開拓は必須だ。

 登山入門者が山を楽しむための情報から、安全な登山の心得など、注意喚起を促す記事も多く掲載されている。多彩な記事掲載を可能にしている理由の一つが、同社が提供するYAMAPアプリだ。登山者の位置情報や活動記録によって蓄積された膨大なデータを多面的な切り口で記事化。アプリユーザーや新規読者に情報を還元している。

「YAMAP MAGAZINE」編集長へインタビュー「日々蓄積されていくビッグデータを利用者に還元する記事を制作」

編集長 原田 佳奈氏のプロフィール
教育系出版社、MBA専門職大学院運営会社で編集・マーケティングに従事し、2020年、YAMAPに参画。「YAMAP MAGAZINE」、オンラインショップ「YAMAP STORE」にてコンテンツ制作を担当。2022年1月よりYAMAP MAGAZINE編集長。

アプリで蓄積されるデータを価値ある情報に変える

 2019年に、それまでのブログ形式の情報発信スタイルを改め、YAMAP MAGAZINEが立ち上がりました。

「山の魅力や楽しみを伝えること」と「山の安全を啓発すること」をテーマに記事を制作しています。例えば前者なら、こだわりの山道具や山ごはんを紹介、後者は山での遭難事例や自然の保全にまつわるもの。その一環で、YAMAPアプリの正しい活用法や自然に関するクラウドファンディングといった、自社サービスへつなげるものもあります。

 また、登山への興味関心層が集まる場という特長を活かし、自然教育や、自然観光を活性化させたい企業や自治体とのコラボレーションを展開する媒体としての立ち位置も担っています。

 多様な記事制作の中で、特に強みだと感じているのは、登山地図GPSアプリ「YAMAP」と連動できるところ。アプリを通して得られるユーザーデータを、役立つ記事として、利用者の方々に還元するのがマガジンの役目だと思っています。

当事者たちだからこそ話せる山の怖さ実体験記事から教訓を学ぶ

記事を出す必要性を感じ、「賛否が巻き起こること」を覚悟した上で配信した「遭難ゼロ」。実際に遭難された当事者や家族が、その時の状況を伝えてほしいという声があり、実現した。

デジタル技術と編集力でユーザー体験を向上

 全国にYAMAPアプリのユーザーがいるため、1日におよそ1.5万件ほどの「活動日記」が投稿されます。ユーザーが山行記録や写真を保存するのに加え、アプリの活用状況や軌跡データなどが日々蓄積されていきます。

 そのビッグデータは宝の山。例えば、「リアルタイム積雪モニター」という仕組みは、毎日投稿される膨大な雪山の写真を自動集計し、日本地図上に(ほぼ)リアルタイムでマッピングするもの。ユーザーは、自分が行きたい山の今の積雪状況がわかるという仕組みです。

 その積雪モニターに、登頂者数が多い山を掛け合わせたキュレーション記事も制作。ユーザーから集まるビッグデータを、役立つ記事として加工しユーザーに還元するのもマガジンの役目だと思っています。

登山文化を活性化させる唯一無二の登山メディア

 よく読まれるのは登山のノウハウ記事や、注意喚起を促す記事で、20万PVを超えるものもあります。例えば、「日本一道迷いしやすい登山道」をテーマにした記事も、YAMAPに蓄積されたデータをもとに記事化したものです。

 データ上で、登山者が何度も行ったり来たりする場所があることがわかり、さらにデータ分析チームが全国に展開して根気強く捜索。「実際に道に迷った」という声もアプリ機能で拾うことができ、貴重なデータがまだまだ蓄積されていることに気付かされた記事でした。

 また、実際に遭難された当事者や家族の方々の記事も、多く読まれています。賛否を呼ぶ記事もありますが、それを出さなければ経験は生きてきません。言葉選びに配慮しつつ、安全登山のために配信しています。

 今後もデータやユーザーのコミュニティなど、自社の強みをさらに活かし、世代を超えて山や自然を愛する文化を活性化させられるような、唯一無二の登山メディアにしていけたらと思っています。

記録をシェアし、道迷いや遭難のリスクを下げる登山GPSアプリ「YAMAP」

電波が届かない山の中でも、スマートフォンのGPSを使って現在地が確認できる登山者向けアプリ。登山中の出来事や写真は活動日記に記録できる。2023年5月に累計370万ダウンロード達成。

TEXT:中西 美穂

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