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「おしごとはくぶつかん」ってどんなメディア!?編集担当にインタビュー

連載 WEB MEDIA GUIDE

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取材日:2020年11月
この記事はライターマガジンVol.3掲載の記事を転載したものです。

 警察官やプロ野球選手だけが仕事じゃない。会社で働く人たちの仕事を通じて、子どもたちの仕事観を育むキャリア教育メディア。新聞社ならではの骨太な記事作りにも注目だ。朝日新聞グループが運営するキャリア教育メディア。子どもたちの目に触れにくい「会社の仕事」にフォーカスし仕事のリアルを届ける。コンテンツを紙媒体で発行し小中学校に無償配布、授業でも活用されている。

メディア:おしごとはくぶつかん
キャッチコピー:キャリア教育を届けるWebメディア
メディア設立:2016年7月(2019年3月リニューアル)
月間PV:非公開
記事投稿サイクル:約6記事/月(Web版オリジナル記事/2020年9月時点)
ターゲット層:小中学生、小中学生の子どもを持つ親、小中学校の先生
社内での位置付け:企業のCSR活動のプラットフォーム
編集部メンバー構成:編集スタッフ4名、営業1名。ほか外部ライター多数
運営会社:株式会社朝日学生新聞社(教育事業室)

ランキングには出てこない会社員の仕事にフォーカス

 名刺を見ても一体何をしている人かわからないことは多々ある。社会に出て数十年経った大人でもそんな調子なのだから、子どもにとって仕事は謎だらけだろう。「おしごとはくぶつかん」はそんな謎を解明するキャリア教育メディアだ。メインコンテンツの「おしごと年鑑」では世の中の仕事が素朴な質問を切り口に紹介される。「ファスナーが簡単に開け閉めできるのはなぜ?」「お砂糖はどうして白いの?」など身近なものから、中には「社長に頼られるのはどんな人?」「良いアイデアさえあれば事業はうまくいくの?」といったドキッとする質問も。これに企業や団体の担当者が回答する。ファスナーならYKK、砂糖なら日新製糖という具合で、ちなみに「社長に頼られる人」として登場するのは中小企業診断士だ。いわゆる花形職業に偏らず、普段は注目されにくい「会社員の仕事」にもフォーカスを当てているのが面白い。サイト内に広告はないが、実は記事に登場する企業や団体からの協賛金を教材やコンテンツの制作運営費にあてているとか。キャリア教育に悩む学校現場の課題と、それを支援したい企業のCSR活動を結びつけ、自身の事業としてもしっかり成立させている。

「おしごとはくぶつかん」編集長インタビュー「なりたい職業ランキングって、単に子どもが「知っている職業」に過ぎないと思うんです。」

編集長 板垣 薫氏のプロフィール
社内出版部門でカメラやPCの専門誌を経て子ども雑誌の担当へ。企画・執筆・編集はもちろん、マンガのシナリオなど細部まで関わりながら約10 年間子ども向け媒体ひと筋。「おしごと年鑑」の立ち上げ時から紙・Webの兼任編集長。

紙と連動し学校へ無償配布立ち上げの経緯について

 引きこもりや若年層の離職率を背景に、小中学生の時期から「仕事とは何か」について考えるキャリア教育が求められています。でも学校と企業の間には接点がほとんどないのが実情です。そこで学校と企業の双方にパイプがある私たちが仲立ちし、キャリア教育の教材を提供できないかという発想から生まれたのが、おしごとはくぶつかんのメインコンテンツ「おしごと年鑑」でした。実は、おしごと年鑑はWebのオリジナルコンテンツではなく、紙媒体が主体です。オンラインで提供したいのは山々でしたが、まだインターネット環境が整っていない学校が多く、「紙媒体を作って無償配布する」という方法を取りました。今も毎年春先に記事を一気に作り、それを冊子で発行し全国約3万校の小中学校に配っています。サイト内の「おしごと年鑑」は冊子先行のリライト記事ですが、他のコンテンツはWebオリジナルです。月6本ペースで制作し、翌年の冊子へ転載することもあります。

働く“人の姿”を子どもの心に残したい「世界の海が仕事場! 日本郵船初の女性船長」

Webオリジナル記事「わたしのしごと道」「あのひと何してる?」では人を主役にさまざまな職業を紹介。古典模写制作者、義足エンジニア、恐竜博物館研究員、知らない仕事がいっぱい……。

難しくないと面白くない子ども向け記事の作り方

 プロ野球選手、保育士、警察官など「なりたい職業ランキング」に選ばれる仕事は実際のところ「なりたい」というより、子どもが「知っている職業」に過ぎないように思います。教室の中の8割方の子は将来どこかの企業、もしくは団体に属すことになるのだから、私たちは愚直なくらい「会社の仕事の面白さ」に光を当てられたらいいなと考えています。ただ、企業の仕事をそのまま紹介しても興味は引けないので、子ども目線のギモンを記事の出発点にしています。ガスコンロの会社なら「ろうそくの火は赤いのにガスコンロの炎はなぜ青いの?」、司法書士の登記の仕事は「月の土地って買えるの?」という感じに。子ども向け雑誌を作ってきた経験からですが、シンプルな問いや身近な不思議ほど子どもたちは食い付きます。また、子どもだからと手加減しないことも大事です。サイトの対象年齢は小学5~6年生ですが誌面の難易度はそれより少し上を想定して、例えば中学生で習う化学記号なども説明を添えながら載せます。これも経験上ですが、子どもは「ちょっと背伸び」するくらいの方が面白がってくれるからです。

求めるのはこんなライター

 1つの文章を短くする、安易に熟語に逃げない、大和言葉に置き換えてみるなど子ども向けの文章の書き方にはいくつかコツがあります。でも、テクニックより大切なのは先の通り「手加減しないこと」です。ライターさんには自分や企業・団体が教えたいことではなく、「子どもが知りたいことは何なのか」を常に考えながら記事作りをしてもらっています。おしごと年鑑の記事はビジュアル先行で、A4見開きをどう構成するかもライターさん次第。文章力というより編集力が求められますが、子ども向けの媒体に興味がある方はぜひ編集部へご連絡ください!

遊び感覚で、おすすめの会社がわかる「おしごと診断」が大好評!

たくさんの仕事が紹介されていて、どこから読めばいいかわからない! そんなときは「おしごと診断」へ。かんたんな質問に答えていくと、「運命の1社」にたどり着くしかけ。思いがけない出会いが待っているかも?

TEXT:井上 久美子

ライター募集中

おしごとはくぶつかんでは、現在ライターを募集しております。
紙媒体の「おしごと年鑑」を制作する編集者、
また「子ども向けの教材が作りたい」方も募集中。
agk-oshihaku@asagaku.co.jp
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