「地球の歩き方」ってどんなメディア!?編集長にインタビュー

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取材日:2022年10月
この記事はライターマガジンVol.10掲載の記事を転載したものです。

 ガイドブックの定番『地球の歩き方』のWeb版。国内外の旅行に関する幅広い情報を提供するほか、書籍に掲載された情報の更新も行い、旅行者に役立つ情報を凝縮したサイト。30代から50代の海外渡航者の男女が主なターゲット。旅の知識、各国情報、ニュース&レポートなど旅に必要な情報を幅広く網羅。ガイドブックに掲載された情報の更新情報も掲載している。

メディア:地球の歩き方web
キャッチコピー:一歩先の、感動の旅へ
メディア設立:1996年頃(20年12月に株式会社Gakkenに事業移譲)
月間PV:150万
記事投稿サイクル:月50本
ターゲット層:海外旅行者(30〜50代中心)
社内での位置付け:(1年前)負け犬(今)再投資中
編集部メンバー構成:編集3名、フロント1名、システム担当1名
運営会社:株式会社地球の歩き方

世界を横断する取材力と現地特派員による最新情報

「地球の歩き方」といえば、海外旅行経験者で知らない人はいないだろう。実は書籍とは別にWebでも情報発信していることをご存じだろうか。

 主なターゲットは30代から50代の男女とガイドブックの読者。書籍は情報を体系的に網羅する役割を果たしているが、日々変わる社会情勢を反映するには時間がかかってしまうのが難点だ。そこでWebでは「一歩先の、感動の旅へ」をキャッチコピーに掲げている世界中の幅広い情報を網羅しつつ、Webの持つスピード感を生かして、ガイドブックの一歩先を行く最新情報の提供を行っているのが特徴だ。

 書籍、Webに共通している強みは、実際に足で稼いだ情報が豊富にあることだ。同じ国や地域のガイドブックを毎年新刊として出版できる体制をとっている編集部の力量もあるが、他社にはない特徴の1つとして世界各国で暮らす日本人による「特派員ブログ」が挙げられる。現地のリアルタイムな情報やマニアックな情報をWeb上で提供しており、編集部がそれを適宜書籍にも反映している。紙媒体とWebサイトの2つを持っているからこそ、相互に補完しあうことができるという。

「地球の歩き方」上原編集長にインタビュー「海外旅行の需要低下で苦しんだ2年リニューアルでよりよい情報を」

編集長 上原 康仁氏のプロフィール
株式会社GakkenにてTV・アニメ雑誌、教養実用書籍、学習参考書の編集・営業などの経験を経て、2021年1月に地球の歩き方編集部に異動。同年8月より地球の歩き方ウェブチームの編集長を務めている。趣味は山スキー。

本当に必要な情報の提供を即時に行うことが目標

 海外旅行をする理由になるようなニュースや特集と、旅行の最中に役立つ情報を届け、読者の旅を素敵なものにするためのお手伝いができるメディアになることをミッションに掲げ、2022年11月にWebをリニューアルしました。 

 変更点の1つに弊社が知るレストラン、ホテル、雑貨店などの物件情報をWeb上でも見られるようにしました。デザイン面では、情報を国別にきちんと整理するということも行っていますね。

 弊社が配信する記事はマニア向けな内容のものが多く、ロングテールな記事になるという傾向があります。反面、初めての海外旅行者向けの情報や、基本的な観光情報が相対的に不足していました。それが読者層を狭めていたことに気づいたため、現在はコンテンツの新規制作中です。

弊社に足りていないのが旅行関連グッズの情報で、EC活動も視野に入れています。旅行の情報を長年発信してきた弊社が本気ですすめるものであれば、将来的に旅行者目線の情報が集積されていって、収益につながると考えています。

「ジョジョの奇妙な冒険」のPRがリリース直後に5万PVを達成

 大人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボした新刊ガイドブックのPR記事。Webチームが主体となって発信した記事ではないので、悔しい気持ちもあったそうだ。

海外旅行需要が激減続けることで見えた希望

 コロナ禍以前は700万から1000万ほどあったPVが、200万程度に減っているため、比例して収益も落ちていますね。

 コロナ禍において、読まれる記事も変化しています。以前は大半が海外情報について書かれたものでしたが、今は国内情報に関する記事と同じ程度の割合になっています。そのような状況において意識していることは「発信を止めない」ということです。弊社は海外旅行があるからこそ作られた会社です。今までと違う状況だからこそ地道に今できることをやろうと。その成果もあってか、この1年で他媒体から取材に呼んでもらえることや、政府観光局からの発信の依頼も増えてきています。少しずつではありますが海外旅行への機運が高まっていることを実感しています。

読者を旅に誘う情報が書く技術よりも大切

 サイトの目玉に、世界各国の現地情報を発信している特派員ブログがあります。ここに投稿される記事は、トラベルライター制度を通じて、採用したライターさんが書いています。

 本数にノルマはなく、テーマも自由。一定以上の本数を書いたら原稿料を一括でお支払いしています。しかし、この半年間はリニューアルに伴って、本当に必要な情報を発信するために投稿内容の調整を図っています。

 具体的にはガイドブックで販売の上位を占める国をピックアップし、こちらから詳細なテーマを指定しています。それを元にそれぞれ執筆してもらっています。

 ライターさんに求めるものは、しっかりしたライティングテクニックよりも、特定の国や地域について、現地に住んでいる人ならではのほかの人が知らない情報をタイムリーに提供してくれることでしょうか。その記事を読んだ人の心に働きかけ、思わず旅に向かわせるような力を持った記事が書けるライターさんだとお付き合いしやすいと思います。

見ると旅に出たくなる!?特派員のリアルなリポート

 世界各国で暮らす特派員によるブログ。グルメ、観光地、宿泊施設の紹介はもちろん、ガイドブックに載らないイベントや現在の情勢など、現地にいるからこそ発信できるリアルな情報が盛りだくさんだ。

TEXT:増田洋子

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下記URLからお問い合わせください。
https://www.arukikata.co.jp/company/travelwriter.html
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