発売記念!今だから話せる『まむし本』出版の舞台裏
2023年12月1日、本メディア「ライターマガジン」を運営するイージーゴーは、『誰も教えてくれない編集力の鍛え方~AI時代を戦う編集者・ライターの生存戦略~』(通称『まむし本』)を発売いたしました。おかげさまで多くの方にご購入いただき、日々多くの感想もいただいています。(ありがとうございます!)
しかし出版・発売に至るまでには、実はさまざまなハプニングが……!どんなことがあったのか?何に苦労したのか?著者のまむしさんと、イージーゴー代表・江郷との対談形式でお届けします。
まむし/慶應義塾大学法学部卒業後、ネットニュースにて記者を務め、2013年には国内大手のメガベンチャーへ転職。編集部門をゼロから立ち上げ、編集部門の責任者として10以上のWebメディアの立ち上げに携わる。2020年には経営学修士(MBA)を取得し、ビジネス領域での理論を応用した編集現場の知見を各地で講演・執筆している。
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江郷路彦/株式会社イージーゴー代表で、本メディア『ライターマガジン』の編集長。Xで知り合ったまむしさんと意気投合し、「編集者の生存戦略セミナー」(2023年2月~6月・全5回)を主催。『まむし本』の打診から出版までを手がけた。
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『まむし本』が生まれたワケ
――まむしさんは、今回の本が初めての自著でしょうか?
まむし:はい、ブックライティングは何冊か経験があったのですが、自分の本は初めてです。ただ、この10年くらいは「自分の経験や知見をどこかで発表したいな」と思っていたので、書籍化のお話をいただいたときはとても嬉しかったですね。
――江郷さんは、なぜまむしさんに書籍化を打診したのでしょうか。
江郷:実はけっこう早い段階で、「まむしさんのセミナーの内容を本にしたら、これまでにないものにできるだろうな」と思っていたんですよ。現場で活動している編集者ならではの視点が、セミナーには詰まっていたので。
――では、わりと早い段階で書籍化を打診された?
江郷:いや、僕が打診したのは、今年6月に開催した5回目のセミナーが終わってからでした。正直、どこかの出版社が出すだろうと思っていたんです。まむしさん自身もXで「本出したいなぁ」って呟いてたし。でも全5回のセミナーが終わって「今までにない切り口の本ができそう」と確信できたので、声をかけました。
まむし:「ライティング」とか「編集」など特定のテーマに絞った書籍はすでに何冊かありましたけど、企画から編集、編集者のキャリアまでを一気通貫で書いている本はなかったんですよね。だから、僕はそんな1冊が作れたらと思って、すぐに書籍化を引き受けました。
筆が進みすぎて、内容を削って削って……
――書籍化が決定してから1カ月ほどで初稿が仕上がったとのことですが、執筆の「時短」のために何か工夫はされましたか。
まむし:セミナーの内容を中心にしたものだったので、早くに文章や図表の内容が固まっていたのは大きかったですね。あとは、執筆にAIも使いました。セミナー音源の文字起こしをAIで整理して原稿にしていたので、1日3万字ぐらいは書けていたと思います。
江郷:ただ、企画段階で「内容をどう差別化するか」はかなり悩みましたね。セミナーの内容がベースになっているし、まむしさんは普段からXやnoteでの発信もたくさんしているから、プラスアルファになる要素を少しでも載せなきゃ、と。
まむし:そうなんですよね。「各章が独立していて、どこから読んでも良い」という構成にしたいなとは思っていたので、それはこの本の特徴になったかなと。
江郷:確かに。あとはスムーズに書いてもらえたんだけど、想像以上に原稿のボリュームがあって大変でした。
僕、最初は「本文は150~200ページ分ぐらい、図表も20個ぐらいかな」なんて思ってたんですよね。でもまむしさんの原稿を見てみたらかなり膨らませてくれていて……。「まむしのひとこと」も最初は各8ページぐらいあったし。
――確かに『まむし本』を初めて見たときに「意外と分厚いな」と思いましたが、そんな背景があったんですね!
江郷:そうそう。今回のテーマからはちょっと外れる章を丸ごと削って、図表の数も減らしました。で、最終的にトータル300ページ、図表75個に。それでも単純計算で4ページに1個は図表が入っていることになるので、こういう本にしてはかなり多いほうだと思います。
まむし:図表、最初は80個ぐらいありましたもんね。今出ているライティング関連の本って、テキスト中心のものが多くて、読者も読むのが大変だろうと思っていました。だから僕の本は、視覚的にもわかりやすくしたかったんです。
――ちなみに丸ごと削った章は、どんな内容だったんですか?
まむし:「ライターや編集者が最低限知っておくべきWebマーケティングの知識」といった内容でした。途中までは書いていたので、機会があれば書籍やnoteなどで発表したいです。
――幻の一編ですね……!それだけでも1冊、本が書けそうですね。
怒涛の販促活動は偶然の産物だった!?
――まむしさんは11月上旬ごろからさまざまなコミュニティで講義をされたり、たくさんのライター・編集者さんに献本されたりしていましたよね。そういった販促計画だったのですか?
まむし:いえ、これは偶然です。以前、江郷さんがライターのさとゆみさんに公開インタビューをされてたんですよ。で、「この日の最後に『まむし本』の告知するね」って事前に江郷さんに言われてて、僕も一視聴者として参加してその瞬間を待ってたんですけど……告知してもらえないまま終わっちゃって。
江郷:いや本当に申し訳ないんだけど、僕は完全に忘れてました……。参加者も150人ぐらいいたのにね。
まむし:それを見てもう、「まずい!僕がやらなきゃ!」と思って(笑)その日から、販促に力を入れ始めました。
――販促の方法も、まむしさんがご自身で考えられたのですか?
まむし:いえ、知り合いのライターさんやマーケターさんの意見を取り入れました。僕はAI×編集者のコミュニティに参加しているのですが、そこにいるライターさんや、SNSマーケティングに詳しい澤山モッツァレラさんがたくさんアイデアをくれたので、それをどんどん実行していった形です。
あとは予約を開始してもなかなかAmazonの売上ランキング上位に行けなくて、それに対しても彼らから「まずくないですか?」と発破かけてもらったのも大きかったです。
江郷:実際、まむしさんがすごく熱心に販促活動をしてくれたのもあって、反響はかなりありました。「ここまで伸びるか」と、僕たちも驚いたぐらい。著名な編集者さんとか、普段あまりSNSに出てこないような、紙媒体での仕事がメインの人も多数買ってくれていて。怪我の功名だよね(笑)
まむし:いやいや(笑)でも確かに、僕の憧れの編集者さんが買ってくれたと知って、とても嬉しかったですね。現場で編集者として活動している方から「編集の仕事が楽しく感じられるようになった」なんて感想もいただいて……。多くの方に喜んでいただけているので、この本を出して良かったです。
実は、本文以上にチェックしてほしいところがある
――購入者にぜひチェックしてほしいポイントはどこですか?
まむし:購入者だけが見られる限定特典です!トータルで8時間分ぐらいあると思うので、ぜひじっくり見ていただけたらと。
江郷:あとは、本のサイズもかな。「けっこう小さめですね」って言われるんだけど、いろんな本を並べて、手に取りやすいサイズこの大きさにしたんです。カバンにも入れやすいし、電車とか飛行機の移動時間にもちょうどいいと思いますよ。
ライター・編集の経験者にこそ、読んでほしい1冊
――最後に、『まむし本』の購入を検討している方にメッセージをお願いします。
まむし:ライター・編集を始めたばかりの方はもちろんですが、「ライター歴/編集者歴3年」とか、「今はライターだけど編集にも挑戦したい」と考えている方にこそ読んでいただきたいです。
ライターや編集の仕事を人に教わるのは難しいですし、経験年数が長くなるほどその傾向が顕著になるなと。この本には、僕が10年以上この仕事をしてきた中で感じた「これを知っておけたら良かったのに」という内容をたっぷり詰め込みました。「キャリアの踊り場に来てしまった」と思ったときに、ページをめくっていただけたら嬉しいです。
江郷:正直、こんなに話題になるとは思っていませんでした。今は諸事情でAmazonかイージーゴーの公式Webショップでしか購入できないのですが、そこももう少し改善して書店の実店舗でも買えるようにしていきたいと考えています。置いてくれる本屋さん・お店さんも切実に募集中です……。
まむし:あと僕、ライティングや編集に関する、オフラインのワークショップに興味があって、そんなイベントも計画中です。内容が固まったら、また告知しますね。
これからもどんどんイベントに出ていこうと思っていますし、Xでの交流も大歓迎です!『まむし本』を読んでみて不明点があったり、質問があったりしたら、気軽に私に連絡してくださいね。
TEXT:シモカワヒロコ