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選ばれたイラストレーターだけが登録できる『Webイラ通』ってどんなメディア?

未経験でも気軽に参入できるとして、年々増加しているライター。ライターと同じように数を増やし続けているのが、イラストレーターです。絵が描ければ誰でもイラストレーターを名乗れてしまう時代だからこそ、安心して信頼できるイラストレーターが重宝されています。厳しい登録基準を設け、質の高いイラストレーターが集まっていると評判なのがイラストレーター検索サイト『Webイラ通』です。

今回は、『Webイラ通』を運営する合同会社森イラストレーション事務所の代表の森流一郎さんに、同メディアの立ち上げの経緯や運営のこだわりについて話を聞きました。

絵の才能があるのに「仕事がない」と嘆く人を応援するサイト

『Webイラ通』とはなんですか?

森さん:『Webイラ通』はイラストレーター検索サイトです。500人以上のイラストレーターが登録しており、欲しいテイストの絵を描くイラストレーターを探して依頼できます。絵を描く技術がプロレベルであることはもちろんですが、信頼できるイラストレーターだけを厳選しているので、安心して発注できます。

冊子版『イラストレーターズ通信』

駆け出し当時の私の周りには絵の才能のある人がたくさんいました。でもみんな「仕事がない」と嘆いていました。「才能はあるのに、あまりにももったいない。なんとか応援したい」と考えて、『イラストレーターズ通信』を創刊しました。これは、イラストレーターの作品や連絡先をまとめ、出版社・デザイン事務所・広告代理店など数千件に送付した冊子です。これが評判を呼び、毎年発行していくことになりました。これをインターネット上に展開したのが『Webイラ通』です。2003年のことでした。現存するイラストレーター検索サイトでは一番古いと思います。

『Webイラ通』のミッションとターゲット層を教えてください

森さん:「イラストレーションという名の小さな幸せを発信し、世に届ける」というミッションで運営しています。イラストを見ていると「かわいいな」「素敵だな」「かっこいいな」と、ほんのちょっぴり幸せになることってないですか?そんな小さな幸せを発信し、皆さんに届けていきたいと心から願っています。その小さな幸せが積み重なって大きくなり、世の中全体が幸せで満たされると嬉しいですね。ターゲット層は、イラストレーションを発注するデザイナー、編集者、広告代理店の人や企業の広告担当です。

イラストレーターが仕事を得るために必要なのは、営業の種まき

『Webイラ通』より引用

『Webイラ通』に掲載される基準を教えてください

森さん:少しでも絵を描ければ、誰でもイラストレーターを名乗れる時代です。山ほどいるイラストレーターの中から信頼できる人を探すのは難しい。きちんと締め切りは守るのか、ビジネスマナーはあるのか、データの納品はきちんとできるのかなど、発注するにあたって気になるポイントがたくさんありますよね。『Webイラ通』には、その気になるポイントをすべてクリアしたイラストレーターだけを掲載しています。作品レベルが高いことはもちろん、パソコン、スキャナー、プリンター、Photoshop、Illustrator、セキュリティソフトなどを持っているかどうかも審査基準に含まれます。

『Webイラ通』に掲載されれば案件が受注できるのでしょうか

森さん:誇大広告が好きではないので、はっきりと断っておきたいのですが、『Webイラ通』は必ず案件を受注できる場所ではありません。そもそも、そんな場所はこの世に存在しないのです。イラストレーションの仕事を受けるためには、地道な種まきが必要です。どんぐりって発芽率がとっても低いんです。それでも、たくさんまくから、そのうちの一部から芽が出るんです。イラストレーターも同じで、『Webイラ通』に掲載したり、SNSで発信したり、Webサイトを作ったり、出版社・デザイン会社・広告代理店などに直接営業したりと、できる限りたくさんの種をまいてはじめて、食べていけるだけの仕事を得ることができるのです。どんなにいい絵を描いていたとしても、業界で名前が浸透していないうちは、食べていけません。

『Webイラ通』に掲載されている森さんのイラスト

ある程度経験のある編集者やデザイナーであれば、持ち上がった企画にぴったりのイラストレーターが頭に数人浮かぶものです。この最初に浮かぶ数人を第一想起と呼んでいます。多くの場合、インターネット等でわざわざイラストレーターを探すことなく、第一想起のイラストレーターのいずれかに依頼します。つまり、特定分野で第一想起とならないうちは、滅多に仕事が来ないのです。私が現役だった頃は、月に50点から70点ほどイラストを納品していました。でもそれは、私が一番上手いイラストレーターだったからではありません。たくさんのご依頼をいただいていたのは、「時代小説」「抒情的文学」「官能小説」といったジャンルにおいて、第一想起のイラストレーターだったからなんです。

そんな私自身の経験も踏まえ「たくさんの種をまくことで、特定分野における第一想起のイラストレーターを目指しましょう」と会員の皆さんにはお伝えしています。『Webイラ通』は、第一想起になるためのたくさんの種まきの一つに過ぎないのです。

「イラ通スクール」についても教えてください

イラストレーターズスクールで学べる講義内容の一例

森さん:元々は、イラストレーターなら知っておきたい知識や情報を『Webイラ通』の掲示板に書いていたんです。その量が膨大になって、遡って読むのが大変になってきました。その情報や情報を体系的に整理し、会員外の人にも学べるようにしたのが『イラ通スクール』です。

たとえば、アナログで書いたものをデータ化する際には、紙の目を消したり、色味を調整しなくてはいけません。また、データを送るときは、そのままメールに添付するのではなく、圧縮して送る必要があります。このようなイラストレーターとしての作法を知らず、自己流で納品している人が多いんです。絵の描き方を教えてくれる学校はたくさんありますが、イラストレーターとして生きていくために必要なスキルを教えてくれるところがない。そのため、『イラ通スクール』では、絵の描き方ではなく、イラストレーターとして生きるために必要なノウハウを教えています。

海外展開を視野に入れつつ、今後もイラストレーターを応援し続ける

『Webイラ通』を運営するうえで大変なことはなんですか?

森さん:資金繰りが大変です。数年前にWebサイトをリニューアルしたのですが、かなりのお金がかかりました。銀行からの融資でなんとか運営している状態です。しかし、「才能あるイラストレーターを応援したい」という気持ちが強く、ずっと続けていこうと考えています。

今後の展望を教えてください

森さん:スクールの講義をリアルな教室で行おうと準備を進めています。YouTubeでも、講義を配信予定です。講義内容をまとめてAmazonでの販売も考えています。会員の原画やZINE、グッズ等の販売も計画中です。それと、「近い将来、イラストレーターという職業に国境・国籍・言語は関係なくなる」と予想しているので、海外に向けた宣伝に力を入れていきたいですね。

メディア:Web イラ通
キャッチコピー:イラストを、安心して依頼できるイラストレーター検索サイト
メディア設立:2003年
月間PV:約5万 PV/月 (2023 年 10 月時点)
記事投稿サイクル:100〜200記事/月(2023 年 10 月時点)
ターゲット層:イラストレーションを発注する職業の方々(編集者、デザイナー、広告代理店、企業内宣伝・販促部等)
運営会社:合同会社 森イラストレーション事務所
Webサイト:https://iratsu.com/

TEXT:ゆう

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