Webライターのキャリアに悩める人必見『AI時代のWebライター1年目の教科書』の著者 佐々木ゴウさんに直撃インタビュー!
Webライターとしてキャリアを考えるとき、「最初の一歩をどう踏み出せばいいのか」、「応募しても思うような結果が出ないのでは?」、「AIの進化でWebライターの仕事がなくなるのでは?」といった不安に駆られること、ありますよね?
そんな不安や悩みに対して、佐々木ゴウさんがじっくりと応えてくれるのがこの一冊です。
本の内容を超え、佐々木さん自身の頼りがいがあり、ユーモラスな一面がしっかりと伝わってきます。
この本を通じて感じたのは、初めてのことで何もわからなくても、経験者の指針があれば冷静に対処できるということ。もし私が1年目にこの考え方を知っていたら、どれほど救われただろうと心から思います。
さらに、出版後に佐々木さんご本人にインタビューを行い、本書に込められた思いや彼のキャリアに対する考え方を直接伺いました。
早稲田大学法学部卒業後、大手通信会社とIT系ベンチャーに勤務しながら副業でWebライターを始め、独立。Webライター・オンライン秘書の育成(ライター組合・秘書部)および、Webコンテンツの制作を行う株式会社Raikumiと、導入事例の取材・制作を行うdouco株式会社を設立。その後、M&AによりPXC株式会社に参画し、AIを活用したデジタルマーケティングの総合支援に取り組む。
著書『デジタル時代の実践スキル Webライティング 読者が離脱しない、共感&行動を呼ぶための最強メソッド』(翔泳社)
具体的でリアルなWebライターのキャリアガイド
Webライターとしての一歩を踏み出したい方に、ぴったりな一冊です。
本書は、これからキャリアを積んでいくための実践的なガイドブックであり、エールがぎゅっと詰まっています。
この本の面白さは、2人の登場人物が織りなす対話形式で進んでいくところ。中でも、その実践的で具体的なアドバイスがとても魅力的です。初心者が抱える不安や戸惑いに寄り添いながら、自然と学びが深まるように工夫されています。挿絵や図表、具体的な事例も豊富に取り入れられていて、活字に慣れていない人でも読みやすい配慮が随所に感じられます。
対話の始まりは、26歳の中堅メーカーに勤める(考えが浅い)浅井さんが、副業としてWebライターを始めようと決意し、独立を果たしたライティング講師のゴウさんに相談するところから。ゴウさんの軽妙なキャラクターとテンポの良い掛け合いは、まるで漫才を見ているかのようで、どんどん引き込まれてしまいます。
浅井さんが自信を持てず、怒られるのが苦手な自分と向き合いながら、ゴウさんとの対話を通じて少しずつ成長していく姿には、共感せずにはいられません。ゴウさんというキャラクターには、著者が初心者だったころに欲しかった情報やメンター的な存在が映し出されていて、その温かさが心に沁みます。
全体として、実用的でありながらも読みやすく、心に響くこの一冊は、Webライターを目指す全ての人にとって、大切な道しるべとなるでしょう。
佐々木 ゴウさんインタビュー「この本は初心者だった自分が欲しかったガイドライン」
Webライター初心者に必要なのは、情報の取捨選択と行動の指針
初心者に寄り添った「教科書」
――タイトルに「1年目の教科書」と入れた理由は?
佐々木:Webライターとしてのキャリアをどう築いていけばいいのか、初心者だった自分が欲しかったガイドラインをまとめたんです。特に「1年目の」初心者に寄り添う内容にこだわりました。
具体的には、理解しやすさを重視して、徹底的に具体化したこと、そして「できない理由」を深掘りして、わからない部分を残さないように努めました。例えば、応募しようと思ってもなかなか手が動かない、そんな状況への対処法も扱っています。これにより、より多くの人が自信を持って一歩を踏み出せるよう、細やかに配慮しました。
――まさに実用的で役立つ教科書ですね。初心者が抱える不安や戸惑いも、これならかなり軽減されそうです。
AIの進化を恐れず、ツールとして活用する技術が重要
――タイトルに「AI時代の」とありますが、AI以外の部分がメインである印象があります。その背景にある思いを教えてください。
佐々木:AIはあくまで道具であり、その前に「Webライターとしてどう仕事をするべきか」を重視したかったからです。生成AIが盛り上がってきているからこその警鐘でもあります。仮に「AI時代だから」と、Webライターとしての動きを知らないままに記事の執筆をAIにほとんどを任せたとします。この場合、その記事が本当に良い記事なのかを何も知らない人間は評価できますか?
――難しいと思います。
佐々木:そんな状態でいくつも記事を制作していると、おそらく「良くない記事」が一定割合で発生することになると思います。そして、その「良さ」を評価できない以上、何もわからないままお客様に納品するはずです。
すると、どうなるか。
お客様が記事の品質を評価できる場合には、すぐに契約が切られると思います。しかもわざわざAIに頼った質の低い記事を納品する業務委託のWebライターに対して、怒ってくれるとは思えません。怒るのって、心理的にも時間的にもコストがかかるからです。
――怒るのって、自分でも嫌ですもんね。
佐々木:さらにはもしお客様が記事の品質を評価できない場合は、どうなるでしょうか?質の低い記事を量産しては、Webの海に放り出すことになりかねません。そんな記事では、読者にもお客様にも迷惑なだけであり、そんな記事を増やしたくはないんです。
だからこそ、表紙に「AI時代の1年目の教科書」と銘打ち、そんなタイトルが気になる人にこそ「AIはただの道具であり、その前に人間としてこうするのがおすすめだよ」と伝える。そんな本にしたいと考えた結果、AI以外の話がほとんどになりました。
自身を実例としたWebライターへのエール
初心者にとって精神的な支えになる︎情報を一冊に詰め込んだ
――登場人物の「ゴウさん」のような相談相手の存在は、初心者にとって非常に心強いのではないかと思いました。
佐々木:実は、僕自身が副業Webライターを始めたころに欲しかったのは、まさに「相談相手」と「励まし」だったんです。相談できる人が周りにいなくて、途方に暮れた時期もありました。それで、普段から相談しやすい雰囲気作りや関係性の構築を意識し、その想いを本書の構成にも反映させました。
――本書を通して、励まされたという声が多いですね。Webライターとしての指針だけでなく、「ゴウさん」と「浅井さん」の関係性からも多くのことを学べると感じました。兄貴分としての「ゴウさん」の存在が、わからないことを気軽に聞ける雰囲気を作り出していて、読者にも魅力的に映ったと思います。
佐々木:この本が、これからWebライターを始めようとしている方々にとって、心強いエールとなることを願っています。手元に置いて、索引を開いて、ぜひ活用していただければうれしいです。
指摘がつらいときはどうすれば?
――本書で特に印象的なのは、「指摘がつらい場合の考え方」など、メンタルケアにしっかり触れている点です。私も1年目に失敗したときに、本書があれば、そんなに消耗せずに済んだだろうなと思います。ここまで踏み込んだ本はなかなかないのではないでしょうか。
佐々木:そうですね。「Webライターとしてのキャリアの積み方」の章には、そもそもクライアントに不満を抱かせないための具体的な立ち回り方も紹介しています。まさに転ばぬ先の杖として、ぜひ役立てていただきたいと思います。理想はいつも元気で、気力に溢れていることですが、現実は納期に追われたりして、そんな余裕はなかなか持てないですからね。
今の力で行動することがWebライターへの一番の近道―興味があるけど迷う人へ
人類の限界を認め、「水切り」アプローチで数を試す行動論
――行動する前に考えすぎてしまう方へのアドバイスは?
佐々木:興味があるなら、まずは試してみることが大事だと思います。もし合わなかったら、そのときにやめればいいんです。考えすぎても、行動しなければ結果は出ませんから。「ヒト」という種族はそこまでスペックが高くない。だからこそ、たくさん試してみることが必要だと考えています。
――どういうことでしょうか?
佐々木:周りのすごいと言われている人も、いざ会ってみるとけっこうしょうもないこと言ってたり、大したことない失敗をしてたりしませんか?歴史を学んでも、しょうもない失敗が繰り返されていたりします。
こういったことから思ったのが、いわゆる世の中のすごいと言われる人でも大したことない失敗をしている以上、そもそも人間ってそこまでスペックが高くないんじゃないか?ということです。
これ、一見すごく悲観論に思われるかもしれませんが、実は真逆で。人という種族はあまり大したことがないのであれば、その種族の自分が最初からうまくいくわけないし、周りの人が失敗をしても「そりゃそうだよね」と、特に悲しみもせずに納得することができました。うまくいかない日があっても「まぁ人間だからね」と、ダメージもあまりありません。
逆にうまくいったときには自分も自分以外でも「人間なのにすごい!」とすごく気持ちよく賞賛できます。
ーー失敗しても当たり前だからこその効果なんですね。
佐々木:はい。そのため、自分自身も含め、完璧な存在を期待するのではなく、数を試してみる姿勢が大事だと感じるようになりました。この「水切り」の感覚、石を水面に投げて跳ねる回数を競う遊びのように、失敗を重ねることを重視するアプローチです。
もちろん、すごい人の失敗エピソードにも、実際はいろいろな事情があったり、事実と違う部分がある可能性が高いことはわかっています。ただ、期待しすぎないという考えは、すごく効果的ですし悪い点もあまり考えられません。すごくストレスが減ります。
ただ、だからといってお客様の候補に対して「僕、自分の実力すらよくわからないけど、まあ雇ってみてよ」と不躾に営業することはおすすめしていません。それで変に自分の実力よりも遥か上の仕事が取れてしまっては、みんなに迷惑になるからです。
じゃあどうすればいいか?については、本書にふんだんに書いてあるのでよければ読んでみてください。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター
著者:佐々木 ゴウ
発行日 : 2024/5/30
定価:1,980円(税込)