「日本仕事百貨」ってどんなメディア!?編集部にインタビュー

連載 WEB MEDIA GUIDE

連載へ

取材日:2020年11月
この記事はライターマガジンVol.3掲載の記事を転載したものです。

 トップページを見ても求人広告サイトだと気付かないかもしれない品のいいデザイン、コピー。その顔つき以上にクリエイティブな「営業しない」「検索しない」、独自のサイト運営の指針とは。求人広告をメインコンテンツとする求人広告サイト。働く人たちの姿を通して企業や仕事を伝える。1記事4000字前後のボリュームを小見出しナシで読ませる文章構成のテクニックはチェックしておきたい。

メディア:日本仕事百貨
キャッチコピー:生きるように働く人の仕事探し
メディア設立:2008年8月1日
月間PV:約150万(2020年9月時点)
記事投稿サイクル:約25記事/月(2020年9月時点)
ターゲット層:20~30代を中心に、自身の生き方・働き方に向き合う幅広い読者を想定
社内での位置付け:会社の顔であり、収益源
編集部メンバー構成:社内編集6名、地方在住のローカルライター15名(2023年4月時点)
運営会社:株式会社シゴトヒト

セオリーを打ち破る読ませる求人広告

 「たわしの話に花が咲いたらちょっとコーヒーでも」。良質なコラムが始まりそうなタイトルだが、これが「日本仕事百貨」の作る求人広告だ。その美しいタイトルに続く記事も見慣れた求人広告とは様子が違う。求人広告といえば給与や勤務地などの「条件」を前面に打ち出すのがセオリーだが、日本仕事百貨は働く人たちにスポットを当てる。職場の雰囲気、社長の印象、仕事のやりがい、こだわり、時にはこだわりのなさ。等身大の言葉を拾い上げていく妙なリアルさが楽しく、読んでいるのが求人募集の広告だということを忘れてしまう。実際、求職者ではない固定読者も多いそうだが、内定率は約7割。クライアントの期待に応え、求人広告サイトとしてしっかり収益化されているのもすごい。スポンサーありきの広告媒体で制作側がクリエイティブのこだわりを貫くのは難しい。そう考えがちだが、とりわけ結果がわかりやすい求人広告で「働く人の思いを伝える」という独自のクリエイティブを貫き、クライアントとユーザーを見事にマッチングさせているのが日本仕事百貨という求人サイトだ。おそるべし。

「日本仕事百貨」編集部へインタビュー「仕事を今すぐ見つけたい人には使いづらいサイトだと思いますよ(笑)」

編集部 中川 晃輔氏のプロフィール
就活に違和感を覚えた大学4年次に日本仕事百貨の存在を知り、インターンを経て入社。2018年、創業者のナカムラケンタ氏からバトンを受け編集長に就任。2021年に長崎・東彼杵町へ移住。編集長からローカルライターへ。

料金一律、営業はしない求人サイト設立の経緯

 日本仕事百貨は、弊社代表のナカムラケンタが2008年に立ち上げたサイトです。当時の求人情報というと、会社のよいところばかり紹介するものがほとんどでした。それは嘘ではありませんが、どんな仕事にも大変なところはあります。そういった光の当たりづらい部分や、書き手が感じたことも含め、あるがままに伝えるサイトを作りたいと考えたのが始まりです。求人メディアは費用を掛けるほど大きな枠が取れたり、サイトの上部に掲載されたりすることも多いですが、日本仕事百貨では記事の大きさはすべて同じ。最新記事から時系列で並び、広告掲載料は2週間の募集期間で一律28万円(+税)と決まっています。その広告掲載料がサイトの主な収益ですが、こちらから営業することは基本的にありません。この「ご依頼待ち」のスタンスは立ち上げ当初からのもので、軌道に乗るまで記事を無料で制作・掲載しながら少しずつ実績を積んでいったと聞いています。

募集終了後も読まれ続ける木村硝子店の求人広告「俺のやり方」

求人募集が終了した記事もサイト内に残され、いつでも読める。人気は東京・湯島にある木村硝子店のシリーズ。それにしても求人広告のタイトルが「俺のやり方」って……。

ストーリーを読ませる取材、記事作り

 クライアントについて下調べはしますが、記事の構成や細かい質問項目は事前にあまり作り込まず、取材で何が起こるかを大事にしています。話を伺うのは、企業の代表、採用後に上司になる方、同僚になる方などそれぞれに立場が違う2〜3名。一緒に働くことになる人たちがどんな価値観や考え方を持っているかをあるがままに伝えたいと考えているので、泥臭い作業や葛藤にも光を当てますし、「お金を稼ぎたいからこの会社で働いています」と話す人がいれば一つの正直な声としてそれも伝えます。

 複数人を取材しますが記事は人や項目で分けたりせず、一本のストーリーにまとめます。途中に小見出しを立てないのも、頭から終わりまで一連の流れで読んでもらいたいからで、裏を返せば知りたい要素を見つけにくい記事ともいえます。それはサイト全体の作りも同じで、求人を条件で絞り込むような検索機能は設けていません。だから、条件に合う仕事を今すぐ見つけたい人には使いづらいサイトだと思います(笑)。条件で仕事を探そうとすると前職やスキルを意識して、選択の幅を自分で狭めてしまうことがよくあります。でも、それまでとは全く違う仕事で才能を発揮したり、自分にマッチした生き方ができたりするかもしれない。日本仕事百貨で、自分では選ばないような仕事やいろんな働き方に触れて、可能性を広げるきっかけになれば嬉しいことです。

ライターに求めるもの

 日本仕事百貨の記事作りでいえば、言葉を巧みに扱ってきれいに書ける人より、いくらか不器用でも素直に書ける人がいい。そのためには「聞く」ことや「感じる」ことが重要です。そして、その過程で生まれた疑問や違和感をしっかりとすくい上げられること。個人的な感覚ですが、「ものわかりがよくない」ことって大事な気がします。

読者がクライアント企業の社長に就任!「中川政七商店が紡ぐもの」

サイトの記事を読んで入社した読者が、その後14代目社長に就任。クライアント社内からも好評を得たコラムと6本立ての求人広告。(https://shigoto100.com/nakagawa-all)

TEXT:井上 久美子

現在、ライターは募集しておりません
募集の際には日本仕事百貨上でお知らせいたします
この記事を書いた人

ライティングに関わる人に役立つ情報をお届け

ライターマガジン編集部

ライターマガジン編集部

ライターマガジン ヘンシュウブ

あなたにおすすめの記事