ライティングに関わる人に役立つ情報をお届け

取材日:2021年7月
この記事はライターマガジンVol.6掲載の記事を転載したものです。
レシピサイトは数あれど読みものとして魅力ある記事は少ない。料理愛いっぱいのごはん記事にWeb時代のスルスル読める文章のヒントを見た。料理家のオリジナルレシピや、SNSで話題の料理を独自の切り口を交えて発信する食卓アレンジメディア。Instagram、Facebook、Youtube、TikTok、Pinterest、Twitterなども意欲的に運営・活用しSNSからの流入も好調。
料理と〈映え〉は相性がいい。いち早くそこに気づき、インスタグラムで食情報のアカウントを開設し、Webメディアへ進化したのが「おうちごはん」だ。多彩なレシピをはじめ、調理家電にお取り寄せグルメと、まさに「おうちごはん」を楽しくさせる情報が満載。
インスタ発のメディアらしいシズル感あふれるビジュアルに目を引かれるが、コンテンツを2~3読めば丁寧な記事づくりに好感を持つ。トレンド料理のまとめ記事はSNSの投稿をただ集めて転載するのではなく、投稿者の声を拾い調理のポイントなどを追記。食材にまつわる豆知識、冷蔵庫事情や調理中のあるあるがちりばめられていて、まるで料理好きが料理好きにおしゃべりしている雰囲気。その素直な文章から料理家やライター、編集者、記事に関わる全員の「料理が好き」という想いが伝わってくる。編集長自らが包丁を握るインスタライブの他、各種SNSの運営も精力的で最近話題のピンタレストはすでにフォロワー数16万人を突破。目先のバズではなく、腰を据えたコンテンツづくりでファンを増やし続けている注目メディアだ。
おうちごはんのレシピは料理家さんのオリジナルと、インスタグラムの投稿からピックアップするもの、大きく2種類があります。立ち上げ当初はインスタ人気が急拡大した時期で、サイトで紹介する料理もいわゆる〈映え〉を意識していましたが、毎日料理を作る人がこれをやるのは現実的に難しいんじゃないかと。実際、時短や節約系料理のニーズは高く、流入の検索ワードでも季節の食材名と並んで「簡単」「冷凍」「作り置き」などが目立ちます。真似したくなるけどハードルは高くない、「ちょっとセンスのいい物知りな友人」のような存在を目指して軌道修正を繰り返しながら現在のテイストに至りました。
レシピを含め、企画は編集部主導で決めています。編集部メンバーで情報を共有し合い、またSNSで投稿数が急増しているものや人気のタグなど、社内の他部署から入るトレンド情報を参考にしたり、メーカーさんやPR会社さんからのリリースにも目を通したりします。情報収集と同じくらい、得た情報を「どう見せれば読者に届くか」の落とし込みを大事にしています。
人気コミックの実写化ドラマの放映時、主人公が作る手料理がSNSで話題に。インスタに投稿された再現料理の画像に、調理のアレンジポイントやドラマの回想を交えて紹介し大好評!
おうちごはんの事業で最優先に求められるのは「読者のみなさんに楽しんでもらえるものになっているか?」ということ。自社のブランディングやマーケティングのためでもあるメディアなので、安易な数字よりも本質的なコンテンツづくりを常に追求できる環境ではあります。PV数をむやみに稼がなくていいので記事をワンスクロールで読める作りにして、もともと少なかった広告枠もUIのリニューアルを機に全て外しました。タイトルや導入文に検索されやすいワードを入れるように意識はしますが、不自然に入れ込むことはしません。読者を最優先にできるありがたい環境なので、コンテンツのクオリティに注力してファンの定着を図っていけるよう頑張っています。
画像は編集部で撮影したものやメーカーさんからの提供素材も使いますが、インスタの投稿記事からピックアップしたものを許諾を得て使わせていただくことも多いです。撮るより選ぶ方が簡単と思われるかもしれませんが、編集部に途中で加わったメンバーが案外苦労するのがこの画像選びです。「ブレがない」「水平が取れている」「彩度の塩梅」などテクニカルな部分は判断しやすいですが、「美味しそう」に見えてなおかつ「おうちごはんらしいもの」という感覚的なところを掴むのに手こずるんです。
感覚を大事にしているのは文章も同じです。すごく上手な文章や巧みな表現よりも、分かりやすくて身近に感じてもらえるものがいい。この感覚を掴んでもらうのが難しく、記事をお願いしているのは立ち上げ当初からお付き合いのある方ばかりです。人手が足りていません……。料理に関心があって、おうちごはんのテイストが好きというライターさん、ご連絡お待ちしています!
ナチュラルで心豊かなライフスタイルを提案するWebメディア。「世界観がすごく好き。PR記事まで楽しく読んでしまいます」
TEXT:井上 久美子