「WORKSIGHT」ってどんなメディア!?編集長にインタビュー

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取材日:2020年6月
この記事はライターマガジンVol.1掲載の記事を転載したものです。

 コクヨのオウンドメディアとして、「働く場所(ワークプレイス)」、「働き方」に関する先端事例や知見を発信。情報の質はもちろん、デザイン性の高さでも耳目を集めるとんがりサイトの制作現場に迫る!オフィス空間のリーディングカンパニー、コクヨが運営。「今と、ちょっと先の世の中」の働き方を考える上での論点を提示する情報を発信する。WEB版オリジナルの深掘りインタビューでも話題。

メディア:WORKSIGHT
キャッチコピー:会社の悩みは環境の工夫で解決できる/Way of Work, Space for Work
メディア設立:2011年12月(マガジンは同年10月)
月間PV:非公開
記事投稿サイクル:月間5本(日本語4/英語1)
ターゲット層:働く環境を考える企業キーパーソン
社内での位置付け:日本のワークプレイス/ワークスタイルのリテラシーを上げ自社ブランディングに繋げるため、研究開発の情報収集のため、など
編集部メンバー構成(Web版):社内編集2名、社外編集3名、外部ライター1名、他Webデザイン事務所
運営会社:コクヨ株式会社
WEBサイト:https://worksight.substack.com/

日本の「働き方」に新しい視点を提供

 ワークプレイスと働き方について新しい視点と気づきをくれると感度の高いユーザーからの支持を集める「WORKSIGHT」。オフィス家具などでおなじみのコクヨが運営するメーカー系オウンドメディアは、世界の先進的なワークプレイス事例を専門的な視点で紹介していると注目を集める。美しいビジュアルにのせて日本のオフィス問題に新しい視点を投げかけるカルチャーマガジンは、紙媒体をベースとしてWEB版も展開。マガジン版の掲載内容に有識者インタビュー記事を加えて構成されている。

自社PRを一切行わずしてブランディングに貢献

 制作と運営を担うのは、コクヨが擁する「ワークスタイル研究所」。海外企業の取材協力を取り付けやすくする狙いで、独立した研究機関が出す中立的な媒体としての立場を守り、オウンドメディアであるのにもかかわらず自社のPRは一切掲載しない。

 自社の経営方針にも一般の読者ウケにもとらわれず、シンプルに「グローバルな潮流」「最新の知見」を徹底して発信するスタイルが魅力となり、結果的に自社ブランディングに繋がっているのだ。

「WORKSIGHT」編集長へインタビュー

編集長 山下 正太郎氏

具体的なターゲットは

 マガジン版は、書店やアマゾンなどを通じて一般の読者にも届いていますが、コクヨの今現在の直接の顧客、つまりオフィス製品のユーザーやオフィスデザイン・施工に関わるサプライヤーに直接手渡されるのがメインです。WEB版の読者は年齢層が少し低く「25〜35歳くらいの、働く環境に興味を持っているビジネスパーソン」、つまり、コクヨの次世代の顧客たちです。

 マガジン・WEB版ともに、多くの人に読まれずとも、重要な一人に情報が届けば世界が変わるという認識で作っています。

 メインとなるコンテンツは日本語ですが、我々の顧客はアジアを中心に海外にもいますので英語サイトも用意しています。英語記事が常に見える状態にあることで、マガジン版の海外企業の取材協力を取り付けやすくなるという効果も実感しています。

日本人の性質を活かした究極のブレストとは?認知バイアスを破壊すれば新しいアイデアが出てくる

当時まだ日本ではあまり知られていなかった濱口氏をいち早く紹介した記事。今まで当たり前だと思っていたものが覆されたという点で、日本社会に驚きをもって広まったのでは、と分析。

記事の作り方は

 社内担当は私を含めて2名いますが、私たちはどちらも編集者であり研究者です。取材は記事をつくるためだけに行うのではなくワークスタイル研究の一環でもありますから、テーマ設定、取材先のセレクト、インタビュー等は社外には依頼せずすべて私自身が行っています。海外の先進ワークプレイス事例取材は私たち2名とアートディレクター、カメラマンのみで行い、ライターは同行しません。取材後、編集方針とメディア用の素材を編プロに渡す形で、記事の制作を行っています。WEB版の有識者取材にはライターにも同行してもらっていますよ。私とライターでインタビューする形で進めています。インタビュー対象者の選定は、すべて私がやっています。媒体単体での商業的成功を目指していないので、対象者の有名無名について意識はしていません。シンプルに、ユニークな考えを持っていると感じる方に取材を申し込んでいます。

ライターに求めるものは

  本媒体の記事にはIT、ビジネス、デザインと、いろいろな要素が関わっているので、幅広くて柔軟な思考と書き口が求められますね。ライターはマガジン版1人、WEB版1人と2名体制ですが、長年一緒に「WORKSIGHTらしさ」をつくってきましたので、今後のライター追加はまだ検討していません。

メディアとしての課題は

 マガジン版は業界のネタ帳とも言える存在になっていて、地位を確立している手応えはあります。ですがWEBに関しては、何が正しいのか未だによく分からないというのが正直なところです。もっと短い記事を頻度高く上げていくのが正解なのかもしれませんが、PVを上げたからといってその先に何があるのか、個人的にはピンと来るものがありません。自分自身、バズっている記事をチェックすることもありますが、どのメディアの記事だったかまで覚えていなかったりするので。

Space10

IKEA が展開するイノベーションラボであると同時に、メディアも制作。「メディアを通じた研究活動の一つのモデルとして興味深く見ています。メディアのビジュアルも優れていますし」と山下氏。https://space10.com/

今後の展開は

 WEBは日々トレンドが移行していくので、その変化にどうキャッチアップしていけるか、常に悩みながら進めていくことになると思います。なかでも読者との接点を多面的に増やす意味で、音声・動画などの展開が特に気になっています。コンテンツとしては、世界中のオフィスの状況をその気になれば検索できてしまう時代にあって、各事例の分析の深みや事例を横断したときに見えてくるトレンド解析などがさらに重要になると思っています。

 マガジン版については、新型コロナウイルスの影響で海外取材の実施がしばらく難しいので、遠隔でどこまで取材ができるかチャレンジしてみたいですね。

 コロナ禍によって、言葉の持つ力が再認識されたのではないでしょうか。ライターの皆さん、同じメディアをつくるものとして、お互いサバイブしていきましょう!

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仁田茜

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